メロシン欠損型先天性筋ジストロフィー MDC1A
【概念】
精神発達遅滞を欠く西洋型先天性筋ジストロフィーで、骨格筋基底膜成分のメロシン欠損に起因する。
欧米では最も頻度が高い先天性筋ジストロフィー(約50%)だが、本邦では比較的まれ。
【病理】
6q22.33にあるラミニンα2鎖の遺伝子(LAMA2)の変異により発症する。
メロシンはラミニン鎖から構成されるヘテロ三量体で、糖鎖構造を介してα‐ジストログリカンと結合しており、欠損するとジストロフィン糖蛋白複合体を介する細胞骨格と細胞外マトリックスとの連結が断たれる。
筋病理では、円形で小径の筋線維と壊死・再生像、間質結合組織の増生など強いジストロフィー変化を認め、ときに間質に炎症細胞浸潤もみられる。
【臨床症状】
生後早期より floppy infantを呈し、顔面筋を含め全身性(近位筋・遠位筋とも)に筋委縮と筋力低下を認める。関節拘縮も伴う。
歩行能力を獲得するには至らないが、知的発達遅滞はみられない。
メロシンの部分欠損例は軽症で、歩行可能となり、肢帯型筋ジストロフィーに似る。
【臨床検査】
血清CKの上昇がみられる。
脳MRIでは大脳白質全体の髄鞘形成不全のため、白質ジストロフィー様の所見を認める。
末梢神経においても髄鞘形成不全があり、神経伝導速度の遅延がみられる。
【診断】
メロシン抗体で筋線維の基底膜が染色されないことにより診断される。
【註記】
【参考】
【作成】2017-10-17