レジオネラ肺炎

レジオネラ肺炎 Legionella pneumonia


【概念】
 レジオネラ属菌による肺炎で、成人市中肺炎の約3%を占める。
 温泉や循環式浴槽での感染が有名。急速に重症化する可能性がある。
 四類感染症。

【原因菌】
 レジオネラ属菌 Legionella sp. 
・自然環境下の水や土壌に広く分布する。
・マクロファージや好中球に貪食されるが、殺菌されず細胞内で増殖する(細胞内増殖菌)。
・菌はグラム染色で検出されず、β−ラクタム系抗菌薬が無効なため、臨床的には非定型肺炎に含まれる。
・市中・院内いずれの肺炎の原因にもなる。
・集団発生と日和見感染が特徴。
・循環式浴槽や水冷式空調設備の冷却水などで増殖・散布(塵埃感染)。

【臨床像】
・ミスト発生環境への曝露歴と集団発生が特徴的。
・多くは中高齢者の市中肺炎。易感染性宿主の発症(日和見感染)もある。
・倦怠感、頭痛、食欲不振等の非特異的症状で発症。
・悪寒戦慄を伴う高熱(39℃以上)、喀痰・咳嗽、胸痛をきたし、急速に呼吸困難が増強する。
・重症例の所見は肺炎球菌性肺炎に似る。
・その他:下痢、中枢神経症状(不穏、意識障害など)、比較的徐脈、低Na血症、高CK血症など。

【臨床検査】
・迅速診断:尿中抗原検出キットあり。
・グラム染色に難染色性:ヒメネス染色、鍍銀染色などを用いる。
・確定診断:BCYE-α培地での培養(3〜5日)。
・正確な診断には直接蛍光抗体法、PCR法、LAMP法、抗体検査などを併用。

【治療】
・原則入院治療(重症化が多いため)。
 ニューキノロン系抗菌薬静注(2週間)
 またはマクロライド系抗菌薬静注+リファンピシン内服(3週間)
・軽症例:マクロライド(アジスロマイシン)単独でも可。
・重症例:ニューキノロン系抗菌薬+アジスロマイシン。

ポンティアック熱
 肺炎症状を呈さず、一過性の感冒様症状で終わるもの。
 予後良好。