誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎 aspiration pneumonia


【概念】
 顕性または不顕性の誤嚥により生じる細菌性肺炎。
・顕性誤嚥:摂食嚥下時の明らかな誤嚥。
・不顕性誤嚥:夜間睡眠時などの唾液や分泌物の誤嚥。

【原因菌】
・口腔・咽頭内の細菌叢を反映する。
・肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、クレブシエラ、腸内細菌(大腸菌)などと、口腔内嫌気性菌の混合感染が多い。

【臨床像】
・誤嚥をおこす基礎疾患(胃食道機能不全)
 脳梗塞、高齢者、寝たきり、パーキンソン症候群、薬物(鎮静剤など)
・気管支肺炎を呈することが多い(右肺に多い)。
・不顕性誤嚥では背側の区域に多い。

【治療】
・肺炎治療+嚥下障害の治療
・まず抗生剤でエンピリック治療、起炎菌が同定されたら抗生剤変更。

【予防】
1)口腔ケア
2)接触時の工夫(食物の形態、姿勢など)
3)ACE阻害剤、シロスタゾール、アマンタジンなど
 ACE阻害剤:サブスタンスPの分解を抑制し、嚥下・咳反射を改善。
 シロスタゾール、アマンタジン:脳梗塞慢性期患者の嚥下・咳反射を改善。
4)臥床時の Head-up(30°頭部挙上)
5)気管チューブのカフ圧調整

メンデルソン症候群(化学性肺炎)
 胃酸などの嘔吐後の吸引により起こる肺炎。