アデノウイルス科 Adenoviridae

アデノウイルス科 Adenoviridae


【分類】

・ウイルスの形状は正20面体で、エンベロープはない。
・ゲノムは35〜36kbpの線状2本鎖DNA
・宿主動物により4属に分類され、ヒトに感染するのは哺乳類に感染するマストアデノウイルス属 Mastadenovirus。
・マストアデノウイルス属はA〜Gの7種、57血清型に分類される。
 アデノウイルスを中和する抗体のエピトープはペントンとヘキソンに存在するため、血清型はペントンとヘキソンの性質のみで決定される。
・種と血清型により感染する臓器、起こす疾患に違いがみられる。

【構造と増殖過程】

・構造は240個のヘキソンと12個のペントンからなる、直径70〜90nmの正20面体のカプシドを持つ。
・ペントンはペントンベースとファイバーの2種類のタンパク質によって構成される。
・ウイルスのレセプターは主にCAR (coxsackievirus and adenovirus receptor)と呼ばれるタンパク質であり、本来の機能は細胞間のタイト・ジャンクションに存在する接着因子である。
・ファイバーがウイルスレセプターのリガンドとなり、ウイルスは細胞膜に吸着する。
 その後、エンドサイトーシスによりエンドソームに取り込まれて細胞内に侵入する。
 細胞内でウイルスはヘキソンを介して細胞の微小管に結合し、核膜まで輸送される。
 核膜孔からDNAを核内に放出して脱殻する。
 核内のDNAからまず5つの初期遺伝子(E1A、E1B、E2、E3、E4)が発現する。E1AおよびE1Bの遺伝子産物は宿主のがん抑制タンパク質 Rb, p53にそれぞれ結合し、アポトーシスの抑制、細胞周期のS期への導入、ウイルス遺伝子発現亢進などを起こす。
 E2遺伝子産物はDNAポリメラーゼで、ウイルス遺伝子の複製を行なう。
 ウイルス遺伝子の複製が始まると、後期遺伝子が発現し、11種の構造タンパク質が作られる。


【註記】


【参考】


【作成】2017-01-03