Bウイルス病 B virus disease

Bウイルス病 B virus disease


【概念】

 サルに感染するヘルペスウイルスの一種Bウイルスがヒトに感染することによって起こる重篤な疾患。

【病原体】

 ヘルペスウイルス科α-ヘルペスウイルス亜科に属するBウイルス B virus(サルヘルペスウイルス Herpesvirus simiae)。正式名称はオナガザルヘルペスウイルス1 Cercopithecine herpesvirus 1。ヒト単純ヘルペスウイルスと抗原共通性がある。
 自然宿主はアジア産マカク属サルで、飼育群の成熟サルでは感染率が80〜90%になる。サルは通常無症状か軽微な症状のみで、ウイルスは神経節に潜伏感染し、免疫抑制やストレスで再活性化される。

【疫学】

・わが国ではニホンザルが高頻度に感染しており、サルの飼育に携わるヒトが感染することがある(ただし、発症はごくまれで、報告は世界で40数例)。
・4類感染症

【臨床症状】

・咬傷や引っかき傷によりサルからヒトに感染する。
・潜伏期間:2日〜5週間
・初期:暴露後1〜2日に接触部位やその周囲に水疱性発疹、潰瘍形成、痛み、かゆみ、リンパ節腫脹が現れる。
・中期(3週間後):発熱、筋肉痛、知覚異常、麻痺、腹痛、結膜炎など。
・後期:悪心嘔吐、頭痛、脳幹症状(複視、嚥下困難、運動失調など)、脳炎症状(痙攣、片麻痺、呼吸障害、昏睡など)が出現し、ときに死に至る。
・病理上は脳脊髄の広範な変性壊死、ときに核内封入体がみられる。

【診断】

・血液、髄液中の特異抗体の上昇
・ウイルスの分離
・PCR法によるウイルス遺伝子の検出

【治療】

・発症予防にはバラシクロビルの経口投与
・発症後はアシクロビルやガンシクロビルの静脈内投与
・ワクチンはない


【註記】


【参考】


【作成】2017-01-03