流行性筋痛症 epidemic myalgia

流行性筋痛症 epidemic myalgia
ボルンホルム病 Bornholm disease


【概念】

 突然の筋肉痛を主症状とする感染性疾患で、主としてエンテロウイルスによる。小児や30歳以下の若年成人に起こりやすい。病名はバルト海のデンマーク領ボルンホルム島での流行から名付けられた。

【病原体】

 コクサッキーウイルスB型によることが多く、その他コクサッキーウイルスA型やエコーウイルスによることもある(いずれのウイルスも現在はエンテロウイルスに分類されている)。

【臨床症状】

・潜伏期間:約4日
・発症:突然の発熱、咽頭痛、筋肉痛
 筋肉痛は胸部や上腹部に多く、程度はさまざま。呼吸運動や咳で増強することもある。
・症状は数日間で自然軽快する。

【合併症】

 心嚢炎や髄膜炎が合併することもある。


【註記】
・2004年に愛知県衛生研究所から世界で初めて報告されたパレコウイルス3型が成人流行性筋痛症の原因ウイルスとなる可能性について、2012年に山形衛生研究所らのグループから報告されている。この場合、筋肉痛の部位が四肢近位部(上腕や大腿)に多く、30〜40代を中心とした若年成人(特に男性)に多いことなどの特徴がある。

・ヒトパレコウイルス Human parechovirus (HPeV)は、ピコルナウイルス科のエンテロウイルス属のエコーウイルス22型および23型が1999年にパレコウイルス属として独立したもの。


【参考】
・山形県衛生研究所HP:パレコウイルス3型による成人の流行性筋痛症について


【作成】2017-01-02