リフトバレー熱 Rift Valley fever
【概念】
サハラ砂漠以南のアフリカに広く分布する人畜共通感染症で、ウシ、ヒツジ、ヤギなどに発症する。病原体はリフトバレー熱ウイルスで、蚊により媒介される。
1977年にエジプトで大流行を起こし、ナイル川デルタ地域で飼育されている牛や羊の約半分が感染し、ヒトでは18,000以上の感染者と約600人の死者をだした。
【病原体】
ブニヤウイルス科フレボウイルス属のリフトバレー熱ウイルス Rift Valley fever virus(ー鎖1本鎖RNA)。自然界では蚊と牛や羊の間で感染環が維持されている。
牛や羊では幼獣で急激な発熱と虚脱が出現し、36時間以内に死亡(死亡率70〜100%)、成獣で発熱、嘔吐、膿性鼻漏、下痢血便、歩行不安定などの症状を現し、死亡率は20〜30%程度。
【疫学】
・感染様式:蚊による媒介、または感染動物との接触感染
・ベクター:イエカ属、ヤブカ属、ハマダラカ属、マダラカ属など
多雨の後に蚊の大発生後に流行しやすい。
【臨床症状】
・潜伏期間:2〜6日
・発熱、頭痛、筋肉痛、背部痛などのインフルエンザ様症状を起こす。
項部硬直、肝機能障害、羞明、嘔吐がみられることもある。
・通常は4〜7日で自然回復する。
・重症例では網膜炎、出血熱、脳炎をまれに併発する。
・死亡率は1%前後。ただし出血熱を呈すると死亡率は50%に達する。
・後遺症としては網膜炎後の失明が重要。
【診断】
・血液からのウイルス分離
・PCR法による病原体遺伝子の検出
・血清中和試験による抗体の検出
・ELISA法または蛍光抗体法によるIgM抗体もしくはIgG抗体の検出
【治療・予防】
・対症療法のみ。
・汚染国では羊、山羊、牛に生ワクチンおよび不活化ワクチンがある。
【註記】
【参考】
・厚生労働省HP:リフトバレー熱
・動衛研HP:家畜伝染病07 リフトバレー熱
【作成】2017-01-02