アルファウイルス感染症 alfavirus infection

アルファウイルス感染症 alfavirus infection


【概念】

 トガウイルス科アルファウイルス属による感染性疾患。アルファウイルスは抗原性から6つの抗原群に分類され、脳炎を主症状とするウイルスと、関節炎を主症状とするウイルスとがあり、いずれも節足動物(蚊)により媒介され、夏季に多い。
 一般にアルファウイルス感染は不顕性感染や非典型例が多く、ヒトに感染を起こすアルファウイルスは現在わが国には存在していない。

【分類】

・アルファウイルス属 Alphavirus
   ・東部ウマ脳炎ウイルス Eastern equine encephalitis virus
   ・ベネズエラウマ脳炎ウイルス Venezuelan equine encephalitis virus
      ・ベネズエラウマ脳炎ウイルス Venezuelan equine encephalitis virus
      ・ムカンボウイルス Mucambo virus
      ・エバーグレーズウイルス Everglades virus
   ・シンドビスウイルス Sindbis virus
      ・シンドビスウイルス Sindbis virus
      ・西部ウマ脳炎ウイルス Western equine encephalitis virus
   ・セムリキ森林ウイルス Semliki Forest virus
      ・セムリキ森林ウイルスSemliki Forest virus (SFV)
      ・チクングニアウイルス Chikungunya virus
      ・マヤロウイルス Mayaro virus
      ・ロスリバーウイルス Ross River virus

【病型・分布】

ウイルス ベクター 分布
 脳炎を主症状とするウイルス
・東部ウマ脳炎
・西部ウマ脳炎
・ベネズエラウマ脳炎


北米大西洋岸、カリブ海、中南米
北米西部、南米
南米、中米
 関節炎を主症状とするウイルス
・チクングニヤ熱
・ロスリバー熱
・マヤロ熱
・シンドビス熱



アフリカ、南・東南アジア
オーストラリア、南太平洋諸島
南米、中米
ユーラシア、オーストリア

【臨床症状】

1)脳炎
 感染数日後、発熱、筋肉痛、倦怠感、頭痛により発症する。
 項部硬直、意識混濁、麻痺、昏睡へと進展し、死に至ることもある。
 致命率は東部ウマ脳炎30〜70%、西部ウマ脳炎3〜7%、ベネズエラウマ脳炎約10%で、回復例でも後遺症を残すことが多い(特に東部ウマ脳炎)。

2)チクングニヤ熱 Chikungunya fever
・近年、東南アジアで流行がみられる。
・潜伏期間:2〜10日
・発症:発熱、悪寒、関節痛、筋痛
・関節炎は小関節が主で、関節の腫脹がみられる。
・班丘状の発疹は発症2〜5日後に主に体幹、四肢に出現し数日間続く。
 ときに出血斑を伴う。
・関節炎は数週間で自然治癒する。

3)その他の関節炎
・発熱、関節痛により発症し、関節炎は比較的小関節にみられる。
・班丘状発疹が体幹、四肢にみられる。
・予後は比較的良いが、症状が長期間続くこともある。


【註記】


【参考】


【作成】2017-01-03