黄熱 yellow fever
【概念】
黄熱ウィルスによっておこる重篤な出血性疾患で、サハラ以南のアフリカと南米で頻度が高い。
【病原体】
フラビウイルス科フラビウイルス属の黄熱ウイルス yellow fever virus
アフリカにおいてはヒトが自然宿主であり、蚊-ヒト-蚊の感染環が維持されており、南米においてはサルが自然宿主である。
主にネッタイシマカにより媒介される。
原則的にヒトからヒトへの感染はない。
【臨床症状】
潜伏期:3〜6日
1)感染期:突然の発熱で発症。悪寒、頭痛、腰背部痛、筋肉痛、悪心・嘔吐がみられる時期が3〜4日続き、ウィルス血症が認められる。
2)緩解期:いったん症状が消失し、2〜24時間小康状態が続く。
3)中毒期:発熱、悪心・嘔吐、上腹部痛、黄疸、腎機能不全、出血傾向が出現する。ウィルス血症は認められず、肝細胞の直接的な破壊が病態と考えられる。
発症から7〜10日で死亡し、致死率は10〜20%である。
【診断】
・血液からのウィルスの分離
・RT-PCR法によるウィルス遺伝子の検出
・特異的IgM抗体の検出
・ペア血清で特異的IgG抗体の上昇
【治療・予防】
・対症療法のみ。
・弱毒生ワクチンがある。
【註記】
【参考】
【作成】2016-12-23