心室頻拍 ventricular tachycardia

心室頻拍 ventricular tachycardia


【概念】
 心室頻拍 ventricular tachycardiaとは、心室から発生する異常脱分極が3回(または6回)以上連続し、かつそのレートが100/分以上のものをいう

【分類】
・単形性心室頻拍:頻拍中のQRS波形が単一のもの。
・多形性心室頻拍:刻一刻とQRS波形が変化するもの。
・持続時間が30秒以上のものを持続性、それ未満を非持続性とする。
・単形性非持続性が最も軽症であり、多形性持続性は最も重症で、心室細動とほぼ同義となる。
・何らかの基礎疾患に起因するものを器質性、基礎疾患のないものを特発性とする。

【心電図所見】
 120msec以上の幅広いQRSが連続する頻拍。
 持続性心室頻拍はリエントリーに、非持続性心室頻拍は非リエントリー(異常自動能または撃発活動)によることが多い。
 リエントリー性心室頻拍では、心室筋の繊維化、脂肪変性、虚血などの障害が伝導遅延部位を形成し、頻拍回路の温床となる。この回路が安定していれば単形性に、不安定であれば多形性になる。
 QT延長に起因する多形性心室頻拍は特殊な病態を呈するため、torsade de pointesとして区別される。

【臨床症状】
・自覚症状:動悸、全身倦怠感、眼前暗黒感、失神など。無症候のこともある。
・他覚症状:頻拍発作時の血圧低下、冷汗、顔面蒼白など。ショックに陥ることもある。

【治療】
1)発作時
 血行動態が破綻している無脈性心室頻拍では心肺蘇生と体外式電気ショックをおこなう。
 血行動態が安定している場合や自然停止する心室頻拍が繰り返している場合は、抗不整脈薬の常駐で停止をはかる(心機能低下例ではⅢ群薬、正常例ではⅠまたはⅢ群薬)。

2)発作停止後
・基礎疾患の除去
・突然死のリスクが高い例では植込み型除細動器(ICD)の適応。


【註記】


【参考】


【作成】2017-06-02