心室細動 ventricular fibrillation (VF)
【概念】
心室細動 ventricular fibrillation (VF)とは、きわめて頻度の高い不規則 (chaotic)な心室の電気活動であり、心電図上、QRSやT波の判別が不可能となる。
最も重篤な不整脈で、心臓突然死の原因の大部分を占める。
【心電図所見】
QRSやT波の判別が不可能で、速い無秩序な心室興奮波がみられる。
心室内に複数個のリエントリーが同時に存在し、それぞれが不安定な回路を形成し、無秩序に回旋している状態。
【臨床症状】
突然の失神。意識消失の前に激しい胸痛を訴えることもある。
心室細動が起こると、心拍出量は失われ、心室筋への血流も途絶するために自然停止することは少なく、数秒で失神し、10分以上放置されると死に至る。
生存率は発作発生後1分ごとに10%低下するとされている。
急性心筋梗塞や冠攣縮性狭心症など、広範で重篤な心筋虚血が原因となることが多い。
正常な心機能に心房細動が合併するものに、Brugada症候群や特発性心房細動がある。
*Brugada症候群
【治療】
発作時は、速やかに体外式電気ショックによる除細動を行う。
市中では自動体外式除細動器(automated external defibrillator : AED)を用いる。
心房細動から復帰後は、基礎疾患の治療(虚血性心疾患の頻度が高い)の治療をおこなう。原因が特定できない場合は植込み型除細動器(implantable cardioverter-defibrillator : ICD)の適応となる。
【註記】
【参考】
【作成】2017-06-02