ビタミンB1欠乏症

ビタミンB1欠乏症
Vitamine B1 deficiency


 ビタミンB1は、植物には遊離チアミン、動物にはチアミンエステルの形で含まれる。
 1日の必要量は約1.5mg。

 必要量が増加するのは
需要増加:妊娠、授乳、成長期、甲状腺機能亢進、胃腸病、発熱、高炭水化物食、高カロリー食など。
排泄増加:利尿、血液透析、腹膜透析、下痢など。
吸収低下:吸収不全症候群、アルコール中毒、慢性低栄養、葉酸欠乏。

 欠乏症は精製した米を主食とする民族に多い。他の民族では、慢性アルコール中毒患者に多い。
 症状は、心血管障害と神経障害が主である。

1. 多発性ニューロパチー

 30〜60代に多く、男性に多い。
 対称性の四肢遠位部優位の運動感覚障害、深部反射低下が起こり、痛みやパレステジー、夜間の筋痙攣も多い。
 神経伝導速度:低下。
 髄液検査:圧の上昇や細胞・蛋白の増加がみられることもある。
 末梢神経:軸索変性と髄鞘変性がみられる。太く長い神経の遠位で変化が強い。
 赤血球トランスケトラーゼ活性はTDP添加で15%以上増加する(TDP効果)。
 治療にはチアミン(ビタミンB1)投与が行われる。
 循環器症状に比べ、神経症状は改善が遅い。

2. ウェルニッケ 脳症

 慢性アルコール中毒患者に圧倒的に多い。
 眼症状(水平性・垂直性眼振、外眼筋麻痺、共同視麻痺)、失調性歩行、精神症状(錯乱状態、振戦せん妄、Korsakoff 症候群)が主要症候である。
 病理上、乳頭体病変は必発で、脳実質の壊死が主体である。その他、第Ⅲ・Ⅳ脳神経核(眼症状)、前庭神経核(平衡障害)、小脳虫部(失調性歩行)、間脳(記憶障害)の病変がみられる。
 血中ピルビン酸の上昇は症状に平行する。
 トランスケトラーゼ活性は著明に低下し、TDP効果は強い陽性を示す。
 24時間尿中チアミン量は15μg以下である。


【註記】


【参考】


【改訂】2017-02-03