ツツガムシ病 Tsutsugamushi disease, scrub typhus
【概念】
リケッチア科に属する Orientia tsutsugamushiを保有する小型のダニ(ツツガムシ)の幼虫がヒトを刺咬して発症する疾患で、山野での野外活動で感染しやすく、北海道を除く全国で発生する。
フトゲツツガムシ(Gilliam型またはKarp型を媒介)とタテツツガムシ(Kawasaki型とKuroki型を媒介)によるものは春と秋に好発する。
夏に発生し、重症例の多いアカツツガムシ(Kato型を媒介)によるものは近年減少中。
【臨床症状】
・潜伏期間:6〜18日(平均10日)
・3主徴:発熱、発疹、刺し口
・発熱:悪寒、頭痛、全身倦怠を伴い、39〜40℃に達する。
・発疹:四肢よりも体幹に強い不規則な形の紅斑(径5mm前後)。出血性になることは少ない。
・刺し口:発熱時は中心に痂皮を有する紅斑(径1〜1.5cm)。疼痛はない。
痂皮脱落後は色素沈着を残す。
・リンパ節腫脹:刺し口近傍の所属リンパ節、全身のリンパ節が腫脹し、有痛性。
・その他:肝脾腫を認めることが多い。
重症例では髄膜炎、心内膜炎、ARDS、DICを合併し、多臓器不全に至ると致死的となる。
【検査所見】
・血液系:重症例で白血球減少、血小板減少、好酸球消失、異型リンパ球出現などがみられる。
ときに血球貪食症候群(HPS)をきたす。
・炎症反応:発熱、CRP上昇など。
・生化学:肝酵素(AST、ALT、LDH)の中等度上昇がみられる。蛋白尿も陽性。
重症例ではFDP陽性、フェリチン上昇、高サイトカイン血症などを認める。
【診断】
・O. tsutsugamushi特異抗体検出法:間接免疫ペルオキシダーゼ法、関節蛍光抗体法
・PCR法
・Weil-Felix反応:OXK株で陽性。
【治療】
・テトラサイクリン系抗菌薬が第一選択。
・クロラムフェニコールが第二選択。
・β‐ラクタム系抗菌薬やアミノグリコシド系抗菌薬は全く無効。
【註記】
【参考】
【作成】2017-08-09