側頭動脈炎 temporal arteritis
【概念】
主に60歳以上の高齢者に発症する頸動脈とその分枝動脈、特に側頭動脈に起こる巨細胞性動脈炎giant cell arteritis(肉芽腫性動脈炎)を主徴とする原因不明の血管炎。
【疫学】
男女比はやや女性に多く、発症は高齢者が中心(平均71.5歳)。
【臨床症状】
前駆症状:微熱、倦怠感、体重減少。
比較的急性に起こる側頭部の頭痛が主症状。
自覚症状は側頭動脈痛、限局性頭痛、頭皮部疼痛、側頭動脈の拍動性頭痛など。
頭痛は拍動性、片側性で、夜間に悪化しやすい。
全身症状(約40%):発熱、体重減少
眼症状(約34%):視力・視野障害、虚血性視神経炎
筋肉痛、関節痛、食事中の咀嚼筋痛(顎跛行)など。
他覚的には有痛性または肥厚性に腫脹した側頭動脈を触知し、圧痛を認める。
リウマチ性多発筋痛症 polymyalgia rheumaticaを約30%に合併する。
その他、大動脈炎による間欠性跛行や解離性大動脈瘤、うつ病や不安感、記銘力低下、脳梗塞、聴力障害、多発性ニューロパチーなどを合併することがある。
【検査所見】
赤沈亢進、CRP陽性、白血球増加、軽度貧血など。
【治療】
早期のステロイド療法が有効。
【参考】