風疹 rubella
【概念】
風疹ウイルスによる感染症で、上気道炎と発疹を主症状とする。通常、3〜4日で自然治癒するため「三日ばしか」と呼ばれることもある。
【病原体】
トガウイルス科ルビウイルス属の風疹ウイルス Rubella virus(+鎖1本鎖RNAウイルス)。ウイルスは世界的に分布し、自然宿主はヒトのみ。
ウイルスは経気道的に伝播し、上気道粘膜や局所リンパ節で増殖した後、血流に乗り1次ウイルス血症を起こす。親和性のある臓器で増殖した後、2次ウイルス血症を起こし、全身に症状を現す。
【疫学】
・感染様式:飛沫感染
・通年性で、学童に好発する
・25〜50%は不顕性感染
・5類感染症、小児定点
・出席停止は発疹消失まで
【臨床症状】
・潜伏期間:14〜23日(通常16〜18日)
・初発症状:小児で発疹、成人で頭痛、倦怠感など。
・3主徴
① 37.5℃以上の発熱:一般に軽度で無熱のこともある。
② リンパ節腫脹(特に耳介後部、頸部):発疹出現前からみられることもあるが、発疹期に著明で、3〜6週で消失する。
③ 全身の斑丘疹状発疹 maculopapular rash:顔から出現し、下方に拡がり、約3日で消失する。融合傾向は少なく、色素沈着や落屑を伴わない。
・感染期間は発疹出現数日前から出現後5〜7日間。
【合併症】
・関節炎:成人、特に女性に多い。発疹出現後2〜3日に出現し、単数または複数の大小関節に疼痛、腫脹(ときに浸出液貯留)がみられる。通常5〜10日で自然治癒する。
・まれに脳炎、血小板減少性紫斑病。
・妊娠初期に感染すると胎児に先天性風疹症候群がおこりうる。
【診断】
・通常、臨床診断による。
・咽頭粘膜や血中からのウイルス分離
・血中IgM抗体の検出(酵素免疫法、EIA法)
・ペア血清で血中抗体の有意上昇(HI法)
【治療・予防】
・治療は対症的。
・風疹生ワクチンあり。
・2006年より麻疹・風疹(MR)混合ワクチンが小児に対して2回定期接種。
・妊婦のワクチン接種は禁忌。ワクチン接種後2ヶ月間は妊娠を避ける。
【註記】
【参考】
【作成】2017-01-02