オウム病 psittacosis

オウム病 psittacosis


【概念】
 クラミドフィラ属のオウム病クラミジア Chlamidophila psittaciによる感染症。
 人獣共通感染症であり、わが国では年間数例が確認される。感染症法の四類感染症。
 好発年齢は50〜60代。

【病態生理】
 クラミジアとはRNAとDNAを保有するが純培養系では増殖できず、生きた動物細胞内でのみ増殖可能な一群の編成細胞寄生性細菌の俗称で、クラミジア属とクラミドフィラ属の2属に分類される。
 基本的にはG陰性菌に類似するが、独特な菌形態の変換を通じて宿主細胞質に形成される膜胞‐封入体内で宿主ATPに依存して増殖する点が特徴。
 感染性はあるが代謝は休眠状態にある基本小体 elementary body (EB)で吸着・侵入し、旺盛な代謝活性を発揮して分裂増殖する網様体 reticulate body (RB)に変換し、さらにRBからEBに成熟変換して宿主細胞死により増殖菌体が放出されるという独特の増殖サイクルを持つ。

 罹患鳥の分泌物、排泄物、羽毛などを介して経気道的に病原菌を吸入するか、経口的に感染する。
 クラミジアは上気道粘膜に接着し、宿主細胞内に貪食された後、細胞内で増殖し、下気道へ浸潤するか、血行性に肺胞や肝臓・脾臓の網内系細胞など全身臓器に拡がる。その後、気道や肺における免疫反応によって組織障害を引き起こし炎症が成立する。

【臨床症状】
 呼吸器症状に加え、高熱、筋肉痛、関節痛、頭痛などが出現する。
 合併症として呼吸不全、髄膜炎、心外膜炎、心筋炎、関節炎、膵炎などがおこることがあり、重症化すると多臓器不全で死亡することもある。

【検査所見】
 白血球増加は少ない。
 肝機能障害がみられることがある。

【診断】
・抗体価測定法:主流。
・病原体検出法:一般的でない。

【治療】
・テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系が有効。
・β‐ラクタム系とアミノグリコシド系は無効。


【註記】


【参考】


【作成】2017-08-09