パーキンソン痴呆症候群

パーキンソン痴呆症候群
Parkinsonism-dementia complex


【概念】

 グァム島のチャモロChamorro族に家族性に多発する疾患で、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、痴呆を伴ったパーキンソン症候群、の3型のいずれか、またはその移行型に属する。

【臨床】

 50代に好発し、男性に多い。経過が早く、数年で死亡する。
 動作や精神活動の緩慢化で発症する。
 前屈姿勢、関節の屈曲傾向、小刻み歩行、突進現象、構音障害が現れる。
 筋固縮は強いが、振戦は少ない。
 眼球運動障害は軽度のものが多いが、輻輳は全例で障害される。
 しばしば錐体路徴候を伴う。
 次第に痴呆が進行し、無言状態になる。末期には高度の屈曲拘縮を来す。
 糖尿病の合併が多い。

【病理】

 脳全体が萎縮し、アルツハイマー神経原線維変化が広範に出現し、顆粒空胞変性や平野小体が目立つが、老人斑がみられないのが特徴。黒質、青斑核の色素脱失が常に認められ、Meynert 核の神経脱落が高度である。

【治療】

 抗パーキンソン薬は痴呆には無効。


【註記】


【参考】


【改訂】2017-02-01