ノカルジア症 nocardiosis
【概念】
放線菌目、ノカルジア属による亜急性もしくは慢性の肉芽腫性疾患。
【病原菌】
主な原因菌は Nocardia asteroidesであり、好気性のG陽性桿菌で、土壌などの自然界に存在する。
真菌に類似した微細な分岐状菌糸の形態をとる。
肺と皮膚を中心に感染を成立させ、通常日和見感染の形をとる。
【臨床症状】
1)肺ノカルジア症
特異的な症状はなく、発熱、咳、血痰、胸痛、全身倦怠感などを示す。
画像所見も多彩で、浸潤影、単発または多発性結節影、空洞影、胸水、膿胸などがみられる。
一般に慢性の経過をとる。
脳ノカルジア症の合併が30%にみられる。
免疫不全者では播種性ノカルジア症と呼ばれる全身型がみられることもある。
2)皮膚ノカルジア症
菌種型 mycetomaと呼ばれる皮下膿瘍を足関節や足背に形成する。
慢性に経過して瘻孔化するものと、瘻孔や硬結までには至らない限局型とがある。
リンパ管に沿って飛び石状に小潰瘍を形成する型もある。
【検査・診断】
特異的な検査所見はない。
培養検査でも菌の検出率は低い。
病巣(膿瘍)からの原因菌検出が主。
【治療】
髄液移行性の良いST合剤が第一選択となる。
他にカルバペネム系やミノサイクリンも使用される。
長期の抗菌薬投与が推奨され、6〜12ヶ月の治療を目安とする。
【註記】
【参考】
【作成】2017-06-11