肢帯型筋ジストロフィー

肢帯型筋ジストロフィー
Limb-girdle muscular dystrophy (L-GMD)


【概念】

 腰帯、四肢近位筋、肩甲帯を中心とした骨格筋が障害される筋ジストロフィーの総称であり、発症年齢、進行の速さに変動が多く、多因性が考えられている。

【遺伝形式】

 常染色体優性遺伝形式をとるLGMD1型と、常染色体劣性遺伝形式をとるLGMD2型とに大別される。1型は成人発症で症状も軽い例が多く、LGMD全体の5〜10%を占める。
 責任遺伝子が明らかになった疾患はアルファベット順に分類されており、現在LGMD1型は1A〜1Hが、LGMD2型は2A〜2Wが知られている。
 責任遺伝子がコードする蛋白質は、構造蛋白質、蛋白質分解酵素、糖鎖修飾酵素、イオンチャンネルの4つに大別される。
 構造蛋白質には、核酸を裏打ちするラミンA/C、筋細胞膜を裏打ちするサルコグリカン(SG)、膜機能に関連するカベオリン3やジスフェルリン、筋原線維を構成するミオチリンやタイチンなどがあり、蛋白質分解酵素にはカルパインが、糖鎖給食酵素にはα-ジストログリカノパチーをきたす酵素群が、イオンチャンネルにはアノクタミン-5がある。

肢帯型筋ジストロフィーの主な病型

【臨床症状】

 発症年齢や進行の速さは症例により様々であり、主症状は骨格筋障害、関節拘縮・変形に伴う運動機能障害である。
 腰帯筋または肩帯筋に初発し、次第に他の筋におよぶ。
 仮性肥大の頻度は少ない。
 関節障害は末期まで出現しない。
 顔面筋は侵されない。

【病理】

 筋線維の大小不同があり、しばしば fiber splitting を伴う肥大線維が多い。壊死・再生像の存在は臨床的進行度に相関する。
 組織化学的染色では筋線維内の構築異常が高頻度にみられる。すなわち、筋原線維間網の乱れ、虫食い像 moth-eaten、分葉線維 lobulated fiber、輪状線維 ring fiber、渦巻線維 whorled fiber など。
 タイプ1、2線維ともに侵されるが、進行例ではタイプ1線維優位が多い。
 ジストロフィンには異常はない。

【治療】

・運動機能障害に対しては、関節可動域訓練を中心としたリハビリテーション。
・慢性呼吸不全に対しては、呼吸リハビリテーションや非侵襲的人工呼吸療法。
・心不全治療はACE阻害薬やβ遮断薬。
・致死性不整脈などの合併にはペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)。
・経口摂取困難例には経管栄養や胃瘻造設。


【註記】


【参考】
・齊藤利雄「肢体型筋ジストロフィー -サルコグリカノパチーを含めて-」:小児内科 Vol.48 No.12 2016


【改訂】2017-02-04