日本脳炎 japanese encephalitis

日本脳炎 Japanese encephalitis


【概念】

 トガウィルス群フラビウィルス属のアルボウィルスである日本脳炎ウィルスによる急性脳炎。

【疫学】

 日本脳炎ウィルスは豚で増殖し、コガタアカイエカにより媒介される。
 春から夏にかけて流行性に発生する。西日本に多い。

【病理】

 病変の主座は視床、黒質である。
 血管周囲の細胞浸潤、グリア結節、限局性組織壊死巣がみられる。
 発症後3週間はウィルス抗原が陽性である。

【臨床】

 前駆症状を伴って発熱、頭痛、意識障害が出現する。
 急性期の中核症状に錐体外路症状(筋固縮、不随意運動)がある。
 髄膜炎型を示すものも比較的多い。
 致死率は30%前後。
 後遺症として情動異常、人格変化、パーキンソン症状などがある。

【検査】

 末梢血の好中球増多がみられる。
 髄液は圧、細胞(単球、リンパ球)、蛋白が増加し、糖は正常である。
 helper/inducer T 細胞の増加が著明。
 脳波は急性期に前頭部優位の高振幅・不規則なδ波出現がみられ、次第に低電位化する。
 CT上、視床、大脳基底核の低吸収域を認めるものも少数ながらある。

【診断】

 血清抗体価上昇による。

【治療】

 全身管理と脳浮腫の治療が主体となる。


【註記】


【参考】


【作成】2016-12-04