ヘルパンギーナ
herpangina
【概念】
夏期に流行し、乳幼児に好発する上気道炎で、咽頭の水疱・アフタと強い咽頭痛が特徴的。
【病原体】
エンテロウィルスのコクサッキーA群(2・3・4・5・6・10)、まれにB群やエコーウィルス
【疫学】
・5類感染症、4類定点把握疾患(小児科定点)
・季節性:春から夏期に流行(7月がピーク)
・好発年齢:小児(特に1〜4歳児)
【感染経路】
急性期は飛沫感染、便からの経口感染もある。
便への排菌は1〜4週続く
【臨床症状】
・潜伏期:2〜4日
・初発症状:突然の高熱(38〜40℃)、咽頭痛、嚥下痛。
・咽頭は発赤し、軟口蓋後部(口蓋垂付近)に紅暉を伴う小水疱が数個出現し、やがて水疱は破れて浅い潰瘍(アフタ)を形成し、疼痛を伴う。
・食欲不振、全身倦怠、関節・筋肉痛を伴い、時に発疹、嘔吐がみられる。
・発熱は2〜4日で解熱し、やや遅れて粘膜疹も消失する。
【合併症】
まれに無菌性髄膜炎
【診断】
確定診断は咽頭拭い液、直腸拭い液からのウィルス分離。
PCRによるウィルスDNA検出も可能。
ペア血清による診断はエンテロウィルスによる交差反応が多いので、一般には行われない。
【治療】
対症療法のみで一般に予後は良好。
嚥下困難による脱水に注意。
【予防・管理】
排泄物の注意と手洗いの励行が基本。
急性期のみ登校登園停止が必要(学校保健法に規定なし)。
回復後も便からのウィルス排泄が続くため、厳密な流行阻止は期待できない
【註記】
【参考】
・武内可尚:日本医師会雑誌臨時増刊号 第122巻 第10号 2000
・国立感染症研究所HP:2014
【作成】2016-12-15