発疹チフス epidemic typhus
【概念】
Rickettia prowazekiiがシラミの媒介によって感染して発症する重篤度の高い急性熱性疾患。
戦争、天災、飢餓、貧困などの劣悪な環境で発生する(日本では1957年以後発生なし)。
ベクターはコロモジラミ。保菌者を吸血したシラミが次の吸血を行う際、ヒトが掻痒感からシラミの糞などに含まれる病原体を刺し口や掻き傷に擦り込んで感染する。
【臨床症状】
・潜伏期間:1〜2週間。
・初発症状:高熱、頭痛、悪寒、脱力感、悪心・嘔吐、手足の疼痛などで突然発症。
・発疹:発熱後2〜5日以内に体幹に出現。数日で全身に拡大し、暗紫色の点状出血斑となる。
・発熱から約2週間後に急速に解熱する。
・精神神経症状:重症例の半数に出現し、無治療の場合の致死率は10〜40%。
・感染後免疫は長期間持続する。
・Brill-Zinsser病:まれに潜伏感染となり、免疫低下や低栄養で数年後に再発するもの。
軽症で致死率も低いが、新たな感染源となりうる。
【検査所見】
・Weil−Felix反応:OX19とOX2が陽性となるが、Brill-Zinsser病では陰性。
【治療】
・第一選択はテトラサイクリン系抗菌薬。
・クロラムフェニコールも有効。
【註記】
【参考】
【作成】2017-08-09