皮質性小脳萎縮症 cortical cerebellar atrophy (CCA)

皮質性小脳萎縮症 cortical cerebellar atrophy (CCA)


【概念】
 中年期に発症する非遺伝性の小脳失調症。Marie-Foix-Alajouanine型の小脳皮質萎縮症に相当する。晩発性皮質小脳萎縮症 late cortical cerebellar atrophy (LCCA)とも呼ばれるが、LCCAは広義では続発性を含む孤発性小脳失調症を指す場合もある。
 臨床症候は小脳症状のみで、他の神経系統の障害は伴わない。
 孤発性SCDのうち、約65%がOPCAで、残りの約35%がCCAである。

【病理】
 小脳皮質と下オリーブ核の選択的変性をきたし、萎縮は虫部、特に上面に強い。
 組織学的には皮質プルキンエ細胞が選択的に脱落する。
 小脳歯状核、脳幹、脊髄には特記すべき変化はみられない。

【臨床症状】
 発症年齢は平均56.1歳。
 全経過を通じ、小脳症状のみを呈する1)
 発症は構音障害、起立・歩行のふらつきがほとんどで、体幹失調に比べて四肢の失調は軽度。
 進行すると四肢・体幹の運動失調、起立・独歩困難となる。

【検査所見】
 画像診断:萎縮は小脳皮質に限局し、虫部に強い。
 脳SPECT:小脳の血流低下を認める。

【診断】
 成人発症で非遺伝性、緩徐進行性の小脳性運動失調を主徴としてほかの神経系統の障害を伴わず、画像診断で萎縮が小脳に限局しているもの。
 難治性疾患政策研究事業の運動失調研究班による診断基準案もある。

【治療】
 有効なものはない。
 機能維持のためのリハビリテーションを行う。


【註記】
1) ただし、実際には小脳外症状として深部腱反射異常、バビンスキー兆候陽性、認知症、不随意運動、振動覚低下がみられることもある。


【参考】
・吉田邦広「皮質性小脳萎縮症」:CLINICAL NEUROSCIENCE vol.35 no.9 (2017)


【作成】2017-09-30