海綿状血管腫 cavernous hemangioma
【概念】
低流量の血管奇形で、洞状の血管構築からなり、その間に正常の脳組織は介在しない。
肉眼的には多房性の外観を持ち、房内にはさまざまな時期の血腫成分を含む。
【疫学】
発生頻度は0.47%で、男女差なし。20〜40代に好発する。
60%が大脳にでき、多発性も多い。
【臨床症状】
痙攣発作、頭痛、出血による局所症状、無症候性など。
脳幹部の海綿状血管腫は発生部位により多彩な局所症状を呈する。
【予後】
未破裂例は年間0.2〜0.4%の確率で出血する。
再出血の可能性は、1年間で約2%、その後は1%以下である。
出血があっても無症状のことが多いが、約10%には何らかの神経症状が出現する。
【診断】
CTで高吸収の腫瘤、MRIではT2強調像では中心は混在輝度、周辺は強い低輝度の腫瘤。
造影効果は乏しく、脳血管撮影でも無血管野となる。
しばしば近傍に静脈血管腫の合併がみられる。
【治療】
無症候のものは経過観察でいい。
けいれんの原因となっているもの、出血を繰り返すものは外科治療の適応となる。
手術は中の血腫を吸引し、サイズを縮小させつつ周辺境界から剥離摘出する。
定位的放射線治療が行われることもある。
【参考】
・石川達哉「脳動静脈奇形・海綿状血管腫」:日本医師会雑誌 第146巻・特別号(1) 2017