ブルガダ症候群 Brugada syndrome

ブルガダ症候群 Brugada syndrome


【概念】
 ブルガダ症候群 Brugada syndromeは、12誘導心電図のV1〜V2(V3)誘導でST上昇を認め、おもに夜間睡眠中または安静時に心房細動を発症し、突然死の原因となる遺伝性不整脈である。
 初発年齢は40〜50代で、男性に多く、日本を含むアジア地域で頻度が高い。
 約30%の例で、SCN5Aなどの遺伝子変異が同定されている。

【心電図所見】
 高位肋間記録(V1、V2が第3または第2肋間)も含めた誘導のなかで、少なくとも1誘導でJ点またはST部分が基線から0.2mV以上上昇する coved型ST上昇(type 1心電図)を認める。

 一過性外向き電流(Ito)などの外向きK+電流の増加、またはNa+電流やCa2+電流などの内向き電流の減少により、右室流出路の心外膜−心内膜細胞間で活動電位第1相に電位勾配が生じ、J波およびこれに引き続くST部分が上昇する。
 近接する心外膜細胞間で大きな再分極時間のバラツキが生じ、phase 2 re-entryを機序として心房細動の引き金となる心室期外収縮が出現する。

【臨床症状】
 失神、心停止、突然死の原因となる。
 中高年男性が夜間に突然死する「ポックリ病」の原因の一部と考えられる。
 夜間睡眠中にうめき声をあげて失神するのが特徴とされる。

【治療】
 心房細動、心停止既往例は植込み型除細動器(ICD)のクラスⅠ適応となる。
 キニジンの有効性が報告されている。
 心房細動急性期にはイソプロテレノールの持続点滴が有効。


【註記】


【参考】


【作成】2017-06-02