心房粗動 atrial flutter (AFL)
【概念】
正常P波が消失し、単形性の連続した迅速な心房波(粗動波)を認める不整脈。心拍数は粗動波と心室波の伝導比により決定される。通常型と非通常型に分類される。
【病因・病態】
病因はAFにほぼ同じ。
メカニズムはリエントリーで、通常型はリエントリーが三尖弁周囲の心房を旋回し(通常反時計方向)、非通常型では他の心房領域を旋回する。
【臨床症状】
心房波と心室波の伝導比が2:1以上の場合。動悸を自覚する。
伝導比が1:1の場合は心拍数が300拍/分前後となり、失神発作を呈する。
伝導比が3:1以下であれば無症状のことが多い。
【心電図】
・通常型:下壁誘導(Ⅱ、Ⅲ、aVF)において粗動波(鋸歯状波)を認める。周期は240〜300拍/分。
・非通常型:小さな粗動波がみられ、周期は340〜400拍/分。
2:1または4:1のように偶数伝導比となることが多い。AFと行き来するタイプも多い。
【合併症】
血栓塞栓症の合併(AFより発現率は低い)。
【予後・治療】
AF同様、病的意義は高くないが、合併症の予防に努める。
1:1AFLでは突然死をきたすことがある。
1)薬物治療
血栓予防にワーファリンやNOACが使用される。
リズムコントロールには、心機能が正常ならⅠ群抗不整脈薬が選択される。
レートコントロールにはβ遮断薬が用いられる。
2)カテーテルアブレーション
成功率は高く(90%以上)、合併症は少ない。
通常型には三尖弁輪と下大静脈との間の峡部を線状に焼灼する。
【註記】
【参考】
【作成】2017-03-29