放線菌症 actinomycosis
【概念】
放線菌属 Actinomycesによる亜急性または慢性の肉芽腫性疾患であり、膿瘍を形成する。
【病原菌】
主な原因菌は Actinomyces israeliiであり、偏性嫌気性のG陽性桿菌であり、真菌に類似した微細な分岐状菌糸の形態をとる。
齲歯や口蓋扁桃などに腐生的に常在しており、非衛生的な口腔で増殖し、齲歯や歯周炎の原因となりうる。それ以外で健常者に病原性を示すことは少なく、おもに日和見感染を起こす。
【臨床症状】
気道内に吸引されて肺に初感染巣を形成し、中枢神経などの全身臓器へ伝播して内臓性病変を呈する場合と、外傷などによって皮膚病変を呈する場合がある。
一般に基礎疾患のない患者では慢性の経過をとり、無症状のことが多いが、免疫不全者では急性の経過をとり、症状を伴うことが多い。
顔面頸部、肺胸部、腹部、女性生殖器、腎臓、骨などに直接あるいは血行性に感染し、その臓器に膿瘍を形成する。自壊すると瘻孔化することがある。
一般に予後は良好。
【検査・診断】
特異的な症状や検査所見はない。
培養検査でも菌の検出率は低い。
口腔内常在菌であるため、病巣(膿瘍)からの原因菌検出が主。
【治療】
膿瘍への抗菌薬移行は不良なため、まず外科的ドレナージを考慮する。
抗菌薬はペニシリンGやアンピシリン、アモキシシリンが第一選択となる。
長期の抗菌薬投与が推奨され、6〜12ヶ月を治療の目安とする。
【註記】
【参考】
【作成】2017-06-11