機能性消化管疾患 functional gastrointestinal disorder : FGID
【概念】
消化管を中心とした臓器に、症状出現の原因となりうる癌や潰瘍のような肉眼的に確認可能な器質的疾患や全身性疾患がないにもかかわらず、不快な症状が慢性的に繰り返して出現し、日常生活や仕事に支障をきたすもの。
非びらん性胃食道逆流症、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などが代表的な疾患。亜分類は患者の訴える主な症状によってなされる。
【診断基準】
・RomeⅠ基準(1991)
・RomeⅢ基準(2006)
・RomeⅣ基準(2016)
・「機能性消化管疾患診療ガイドライン2014ー機能性ディスペプシア」
・「機能性消化管疾患診療ガイドライン2014ー過敏性腸症候群」
【病型分類】
A. 食道障害
A1. 機能性胸痛
A2. 機能性胸やけ
A3. 逆流性過敏症
A4. 球症状
A5. 機能性嚥下困難
B. 胃十二指腸障害
B1. 機能性ディスペプシア
B1a. 食後愁訴症候群(PDS)
B1b. 心窩部痛症候群(EPS)
B2. 噯気(げっぷ)障害
B2a. Excessive supragastric belching
B2b. 過剰噯気症
B3. 悪心・嘔吐障害
B3a. 慢性悪心嘔吐症候群(CNVS)
B3b. 周期性嘔吐症候群(CVS)
B3c. カンナビノイド悪阻症候群
B4. 反芻症候群
C. 腸障害
C1. 過敏性腸症候群(IBS)
便秘型、下痢型、混合型、分類不能型
C2. 機能性便秘
C3. 機能性下痢
C4. 機能性腹部膨満/拡張
C5. 不特定機能性腸障害
C6. オピオイド誘発性便秘
D. 中枢性介在消化管疼痛障害
D1. 中枢性介在腹痛症候群(CAPS)
D2. 麻薬性腸症候群(NBS)/オピオイド誘発性消化管知覚過敏
E. 胆嚢・オッディ括約筋障害
E1. 胆道痛
E1a. 機能性胆嚢障害
E1b. 機能性胆道・オッディ括約筋障害
E1c. 機能性膵臓・オッディ括約筋障害
F. 機能性肛門障害
G. 小児機能性消化管障害:新生児/幼児
H. 小児機能性消化管障害:小児/青年期
【機序】
・腸脳相関 brain-gut interaction
脳がストレスを受けると、さまざまな神経因子によって自律神経のバランスが崩れ、それによって消化管の運動異常が起こる。
腸の動きと前頭前野の機能が相関しており、扁桃や前帯状回・島などの機能も相関している。
・内臓の知覚過敏
特定のストレスや感染、遺伝子多型を発症のきっかけとして、ターゲットとなる臓器が感作され、それぞれの臓器に特有の症状を感じやすくなる。
・ホルモン因子
ストレスホルモン(副腎皮質刺激ホルモン放出因子:CRF)がストレス時に脳室内に放出され、腸に働くと腸の粘膜からセロトニンが過剰に分泌され、それによって下痢・腹痛が生じる。
・腸内細菌叢 microbiome
・感染後機能性疾患 post-infectious functional disorder
感染後に残存する消化管の微細炎症がFGIDの発症と関連する。