循環器の症候

循環器の症候


1. 胸痛 chest pain
 胸部の不快感、圧迫感、絞扼感、灼熱感、激痛などと表現される症状の総称。
 緊急性の高い胸痛(4 killer chest pain)は、
 ・急性冠症候群 ・大動脈解離 ・肺塞栓症 ・緊張性気胸

・急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症)
 前〜左胸部圧迫感、肩や頸部への放散痛、悪心・嘔吐・発汗
・大動脈解離
 突然の激烈な胸背部痛、移動性の疼痛、血圧の左右差
・肺塞栓症
 突然の胸痛、呼吸困難、咳嗽、片側下腿浮腫
・緊張性気胸
 突然の片側性の胸痛、呼吸困難、咳嗽、呼吸音の左右差、皮下気腫

2. 呼吸困難 dyspnea
 呼吸の際に異常な不快感や努力感をともなう呼吸運動の自覚。
 あくまで自覚症状(客観的病態である呼吸不全とは異なる)。
 緊急性が高い病態が多く、気道確保が優先される。

3. ばち指 clubbed finger
 手指や足趾末端の結合組織の増殖による無痛性肥大と爪変形。爪甲基部が盛り上がるために指趾が太鼓のばち状を呈する。
・末節骨部分の厚み(DPD)>遠位指節関節部の厚み(IPD)
・爪と爪甲基部がつくる爪郭角>180°(正常<160°)

4. チアノーゼ cyanosis
 血中の還元ヘモグロビン(Hb)もしくは異常ヘモグロビンの増加によって、皮膚や粘膜が暗紫色になる状態。
・毛細血管中の還元型ヘモグロビンが5g/dl以上で生じる。
・貧血や大量出血ではHb量が少ないためチアノーゼは出現しにくい。
 多血症ではHb量が多いためチアノーゼが出現しやすい。
・メトヘモグロビンが1.5g/dl以上の場合にも出現する。

・中心性チアノーゼ
 動脈血酸素飽和度(SaO2)の低下で起こり、口唇・口腔粘膜・爪床にみられる。
・末梢性チアノーゼ
 末梢循環障害による局所的SaO2低下で起こり、四肢末梢や顔面にみられる。

5. 動悸 palpitation
 通常は自覚されない心臓の拍動を自覚した状態。心拍数増加、1回拍出量増加、不整脈などが原因となる。循環器以外の疾患が原因になることもある。

6. 失神 syncope

7. 頸動脈怒張
 坐位での頸動脈怒張は右心不全、右心への還流障害を示す。

8. 浮腫 edema
 細胞外液のうち組織間液が異常に増加した状態。
 全身性と局所性とがあり、全身性のものは心臓性・肝性・腎性がある。
・顔面浮腫や上肢浮腫は全身性浮腫であることが多い。ただし、軽度の全身性浮腫は下肢のみにみられることもある。
・non-pitting edema(長く圧迫しても圧痕が残らない浮腫)は甲状腺機能低下症やリンパ浮腫に特徴的。
・fast-recovering edema(圧痕が40秒以内に回復する浮腫)は発症3ヶ月以内の低アルブミン血症(膠質浸透圧低下)に特徴的。

9. 喀血 hemoptysis・血痰 hemosputum
 喀血:気道から血液を喀出すること。
 血痰:血液が痰に付着したもの。
*上部消化管からの出血は吐血という。