フェニルケトン尿症 phenylketonuria : PKU
【概念】
フェニルアラニンヒドロキシラーゼの機能低下により、フェニルアラニン代謝ができずに過剰となる。そのため発育期の中枢神経細胞が障害され、知能障害、痙攣をきたす。また、チロシン欠乏によりメラニン色素欠乏(皮膚色素低下)が起こる。
【分類】
・古典型フェニルケトン尿症:血中フェニルアラニン値 20mg/dl
・軽症型フェニルケトン尿症:血中フェニルアラニン値 10〜20mg/dl
・軽症型フェニルアラニン血症:血中フェニルアラニン値 10mg/dl以下
・フェニルアラニン水酸化酵素の補酵素であるテトラヒドロプテリン(BH4)代謝異常症も同様にフェニルアラニン高値となる。
【疫学】
・有病率:日本で約8万人に1人
・欧米や中国ではより発生頻度が高い
・新生児マススクリーニング該当疾患
【病態生理】
高フェニルアラニンの中枢神経細胞への影響は幼少時ほど大きい。
脳内の高フェニルアラニン状態たアミノ酸インバランスを起こし、中枢神経細胞障害をきたす。
大脳皮質の階層化障害、神経細胞の遊走不全や異所性灰白質が生じる。
ドパミン代謝産物の偽ペルオキシダーゼ反応などにより、黒質緻密部の消耗性色素沈着が起こる。
【臨床症状】
・新生児期には無症状
・ネズミ様尿臭
・知能障害、痙攣、行動異常
・色白の皮膚、赤茶けた頭髪
【検査所見】
・血中フェニルアラニン高値、チロシン低値
【鑑別診断】
・BH4内服負荷試験:BH4に反応して血中フェニルアラニン値が低下する場合、ビオプテリン代謝異常またはビオプテリン反応型フェニルアラニンヒドロキシラーゼと考えられる。
【治療】
・食事療法:フェニルアラニン除去ミルクと低蛋白食
・ビオプテリン反応型ではBH4治療を併用