ヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症
human metapneumovirus infection
【病因】
ヒトメタニューモウイルスはパラミクソウイルス科ニューモウイルス亜科メタニューモウイルス属に属するRNAウイルスで、2001年に報告された。
エンベロープを有するので、アルコール消毒が有効。
【症状】
すべての年齢層に気道感染症を引き起こす。
鼻副鼻腔炎、中耳炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎など、ほぼ全ての気道感染症の原因となり、再感染もまれではない。
春先に流行が多く、重症化しやすいのは6ヶ月から5歳くらいまで(RSVよりやや年長児に多い)。
・発熱・咳嗽・鼻汁が主要症状だが、しばしば胃腸症状(下痢、軟便、嘔吐)がみられることもある。発熱、咳嗽、鼻汁はほぼ同時期に出現する。
・初期の咳嗽は軽度であるが、徐々に悪化し、夜間睡眠障害、咳込み嘔吐もみられる。咳・喘鳴のピークは5〜7日が多い。
・鼻汁はRSVに比べてやや少ない。
・発熱は弛張熱を示すことが多く、発熱のピークは高く、発熱期間も5〜7日と長い傾向がある。
・ウイルス性中耳炎を起こすことも在る。
【検査】
白血球数はやや増加し、CRPは軽度上昇を示すことが多い。
胸部X線検査では肺気腫と気管支周囲の肺胞性浸潤影を認めることが多い。
診断にはイムノクロマト法による迅速診断法が用いられる。ただし、保険適用は「画像診断により肺炎が強く疑われるhMPV感染症の6歳未満の患者」。
【治療】
対症療法。
【参考】
・「ヒトメタニューモウイルス(hMPV)肺炎の典型例」:田島剛:小児内科 Vol.51 No.2 2019