結核 tuberculosis
【概念】
結核菌 Mycobacterium tuberculosisによる感染症。
抗酸菌(マイコバクテリウム属)には結核菌以外にも結核症を引き起こしうる菌群(ウシ型抗酸菌、ネズミ型抗酸菌、アフリカ型抗酸菌)があるが、わが国の結核はほとんどが結核菌による。
【疫学】
日本は結核の中蔓延国であり、年間約2万人の結核患者が登録される。
わが国の特徴は高齢者が多く、若年者では外国人患者が増加していること。
【病態生理】
・感染様式は飛沫感染(空気感染)で、空気中に浮遊する飛沫核を吸入することにより感染する。
・結核病変の代表は肺結核である。
肺あるいは気管支以外の臓器を主要罹患臓器とする結核症、および粟粒結核を肺外結核と呼ぶ。肺外結核には結核性胸膜炎、胸腔内リンパ節結核、孤立性気管または気管支結核、結核性喉頭炎なども含まれる。粟粒結核は結核菌が血行性に全身に播種した病態である。
・原則として肺以外の臓器は外界から直接結核菌が侵入することはない。
肺外結核は肺に発生した結核病巣から、リンパ行性、血行性、管内性に結核菌が広がったものである。ただし、扁桃結核や喉頭結核、皮膚結核などは結核菌が直接侵入したものである。
・結核性病変の典型的な所見は類上皮細胞性肉芽腫である。
【臨床症状】
自覚症状:典型的には咳、痰、発熱、血痰、盗汗、胸痛、嗄声、食欲不振、体重減少、消化器症状、意識障害など。特に咳・痰が2週間以上続く場合は肺結核の鑑別が必要となる。
【診断】
痰の塗抹・培養検査による結核菌の証明。
核酸増幅法は菌の同定に用いられる。
【治療】
・原則は多剤併用療法を、決められた期間継続すること。
・初期治療の標準療法は次の2つ。
(A)法:RFP+INH+PZA+(SMまたはEB)の4剤併用で2ヶ月間
その後RFP+INHで4ヶ月間
(B)法:RFP+INH+(SMまたはEB)の3剤併用で2ヶ月間
その後RFP+INHで7ヶ月間
【予防】
乳児期のBCG直接接種
【註記】
【参考】
【作成】2017-08-09