カンピロバクター感染症
【概念】
カンピロバクター属はG陰性のらせん状桿菌で、Campylobacter jejuni、C. coli、C. fetusがヒトに感染する代表種。C. jejuniとC. coliは主に腸管感染症、C. fetusは主に腸管外感染症を引き起こす。
C. jejuniは食中毒の主要病原体で、少量の菌量でも感染が成立する。
いずれの菌も汚染された肉類の摂取による経口感染が多く、C. jejuniは鶏肉、C. coliは豚肉から感染しやすい。
【臨床症状】
1)腸管感染症
C. jejuni、C. coliによることが多く、潜伏期間は2〜8日。
腹痛、下痢、発熱を主症状とし、血便を認めることも多い。
右下腹部を中心に圧痛を認めることが多い。
2)腸管外感染症
C. fetusが主要原因菌となり、主としてコンプロマイズド・ホストに発症する。
敗血症、髄膜炎、心内膜炎、心外膜炎、胆嚢炎、腹膜炎、虫垂炎、蜂窩織炎、壊死性筋膜炎、骨髄炎、関節炎、尿路感染症などさまざまな病態を呈する。
3)合併症
C. jejuni腸炎発症1〜3週後にギラン・バレー症候群を発症することがある。
C. jejuniの外膜リポ多糖体が神経系のGM1-ガングリオシドと共通する構造を有しているためと考えられている。
その他、ぶどう膜炎、溶血性貧血、脳症、HLA B27を有する患者における関節炎などもある。
【治療】
腸管感染症の場合、脱水対策が主で、抗菌薬投与は必ずしも必要としない。
必要な場合はマクロライド系の経口投与が選択される。
腸管外感染症に対してはアンピシリン、第3世代セフェム、カルバペネム系が有効。
【註記】
【参考】
【作成】2017-07-03