心房期外収縮 atrial premature contraction (APC)
【概念】
心房内の異所性の部位から興奮が早期に発せられることで、正常と異なるP波が早期に出現する不整脈。健常者にも高頻度で見られるありふれた不整脈。
異所性P波の形状により、単源性と多源性とに分けられる。
非リエントリー性であり、異常自動能によるものが多い。
【臨床症状】
多くは無症状。脈の結滞感(脈が跳ぶ感じ)や、軽い一過性の動悸を自覚することもある。
【心電図】
・正常と異なるP波(P’波)が早期にみられる。
・P’波に続くQRSは正常と同じく幅狭くなる。
ただし、かなり早期に出現すると、心室内変行伝導によりQRS幅が広くなる。
さらに早期に出現すると、房室伝導がブロックされ、QRS波が出現しなくなる(blocked APC)。
【予後・治療】
予後は良好であり、臨床的に問題になることはない。
特別な治療は必要としない。
心房頻拍 atrial tachycardia (AT)
【概念】
心房期外収縮が連続して一過性に早期に出現する不整脈。APCよりも頻度は低いが、健常者でも検出されることがある。
異所性P波の形状により、単源性と多源性とに分けられる。
非リエントリー性だが、まれにリエントリー性のものがあり、その場合PCVTとして扱われる。
【臨床症状】
無症状、または脈の結滞感(脈が跳ぶ感じ)や、軽い一過性の動悸を自覚することもある。
【心電図】
APCが連続して一過性に出現する。
【予後・治療】
予後は良好。症状が強い場合は、Ⅰ群抗不整脈爵(slow/intermdediate kineticのNaチャンネル遮断薬)またはβ遮断薬が用いられるが、前者は心機能低下例には禁忌。
【註記】
【参考】
【作成】2017-03-29