家族性筋萎縮性側索硬化症
Familial amyotrophic latelal sclerosis (FALS)
【概念】
家族性に発症し、上位及び下位運動ニューロン障害を主症状とし、孤発型ALSに酷似した臨床像を示す疾患。ALS の約5〜10%を占める。性差は男:女=2:1、平均罹病期間2.5年。
【遺伝】
大部分は常染色体優性遺伝形式を取り、浸透率は100%近いこともある。
遺伝子座は第21染色体長腕(21q)。これに連鎖しない家系もある。
第21染色体長腕には Cu/Zn superoxide dismutase gene ( SOD 1) が存在する。これは神経細胞毒となるフリーラジカル(スーパーオキサイド)の消去に重要な酵素を作る遺伝子であり、第21染色体にリンクする家系の多くにこの部位のミスセンス変異が発見されている。一方、孤発性ALSではSOD1変異が認められた例の報告は少ない。これらのことから、21番染色体に連鎖したFALSの原因がSOD1のミスセンス変異に基づくSOD活性の低下であることがほぼ明らかになっている。
【症状】
ALS との差は
・平均発症年代が40代と、ALS より若い。
・偽多発神経炎型が多く、球麻痺型が少ない。
・錐体路徴候、球麻痺症状が少ない。
・感覚障害、精神症状、錐体外路症状などを合併する症例もある。
・ときに知能低下がみられる。
【病型】
病変が運動ニューロン(錐体路と脊髄前角)のみに限局する型と、後索・ Clarke 柱・脊髄小脳路などにも病変が及び、残存ニューロン内に Lewy 小体様の硝子様封入体の出現を認める型(後索型)とがある。SOD変異が病因であるFALSは病理学的には後索型に対応している可能性がある。
【病理】
1. 下位運動ニューロン障害(頚髄〜腰髄)
前角細胞の高度消失
残存細胞内に棍棒状の硝子様封入体あり(Bunina 小体はみられない)
↓
筋萎縮、筋力低下、fasciculation (下肢から始まるものが多い)
2. 上位運動ニューロン障害
一般に錐体路・Betz 細胞の変性は軽度→錐体路徴候が少ない
脳幹神経核の変性の程度は様々→球麻痺症状なし〜外眼筋麻痺ありまで多彩
3. 後索障害
下位では中間根帯が障害
上位ほど軽く、かつ外側へ移動し、頚髄では Burdach 束のみ→しかし、感覚障害なし!
脊髄小脳路の Clarke 柱変性あり→しかし、失調症状なし!
【註記】
【参考】
・田代邦雄:Clinical Neurology vol4 no11
・中野亮一、辻省次:モダンコンセプト神経内科5
【改訂】2017-02-01