先天性風疹症候群 CRS

先天性風疹症候群
congenital rubella syndrome (CRS)


【概念】

 妊娠初期に妊婦が風疹に初感染すると、ウイルス血症により運ばれたウイルスが胎盤で増殖し、胎児に慢性持続感染して特有の臨床症状を起こす。
 発症頻度は妊娠1ヶ月までで50%、妊娠2ヶ月で20〜30%と高率であり、20週までリスクがある。
 臨床症状としては眼疾患、先天性心疾患、感音性難聴が3大症状となる。
 新生児・乳幼児期のCRSは風疹の感染源となりうる。

【臨床症状】

A ① 先天性白内障、または緑内障
  ② 先天性心疾患:動脈管開存、肺動脈狭窄、心室中隔欠損、心房中隔欠損など
  ③ 感音性難聴

B ① 網膜症
  ② 骨端発育障害(X線診断によるもの)
  ③ 低出生時体重
  ④ 血小板減少性紫斑病(新生児期のもの)
  ⑤ 肝脾腫

<診断基準>
 「Aから2項目以上」、または「Aから1つとBから2つ以上」、もしくは「Aの②または③と、B①」

【病原体診断等】

・風疹ウイルスの分離陽性、またはウイルス遺伝子の検出
・血清中に風疹特異的IgM抗体の存在
・血清中の風疹HI価が移行抗体の推移から予想される値を高く越えて持続
 (出生児の風疹HI価が、月あたり1/2の低下率で低下していない)

【鑑別】

 風疹以外の原因による周産期感染症(TORCH症候群)


【註記】


【参考】


【作成】2017-01-02