性・数・格
【性 genus】
・男性 masculinum (m)
・女性 femininum (f)
・中性 neutrum (n)
【数 mumerus】
・単数 singularis (s)
・複数 pluralis (pl)
【格 casus】
・主格 nominativus (nom):主語(〜が)、補語(〜を)
・属格 generivus (gen):所属・所有(〜の)
・与格 darivus (dat):間接目的(〜に)、利害(〜のために)、関与(〜にとって)
・対格 accusativus (acc):直接目的(〜を)
・奪格 ablativus (abl):手段(〜によって)、道具(〜でもって)、随伴(〜をもって)、時間的・空間的点(〜において)、分離、起点、理由、原因(〜から)
・呼格 vocativus (voc):呼びかけ(〜よ)
原則1:単数・主格が-us型の第2変化名詞の単数形以外は全て主格と呼格は同形。
原則2:中性名詞は全て単数、複数ともに主格・対格同形。
原則3:中性名詞複数では、主格・対格は-aに終わる。
原則4:複数では、与格と奪格は常に同形。
1)属格の用法
属格は、所属・所有の意味で、一般に修飾・限定する語の後にくる。まれに目的語となる。
性質・記述の属格:他の名詞の性質を記述し、説明する。形容詞がつくことが多い。
同格の属格:同格関係によって他の名詞の説明をする。
目的の属格:動作や感情を表す名詞の意味上の目的語をあらわす。
部分の属格:部分を示す語の後に全体をあらわす属格形の語がくる。
・形容詞最上級とともに用いる属格(〜の中で最も)
・特別な代名詞・形容詞の後の属格(aliquid, quid, multum, plus, minus, satis, nihil etc.)
・第1・2変化形容詞の中性単数形となるもの。
属格は、充満、欠乏、関心、欲望などの概念を持つ形容詞の補語となる。
属格は、充満、欠乏などの概念を持つ動詞の補語となる。
属格は、名詞の意味上の主語となることもある。
2)与格の用法
所有の与格:esseとともに用いられて所有をあらわす。
目的の与格:運動概念の動詞やesseとともに用いられて目的をあらわす。
利害関係の与格:目的の与格は、ふつう利害関係の与格を伴う。
判断者の与格:利害、好悪、適・不適などの概念をあらわす形容詞の補語となる。
与格は、分離の動詞とともに用いられることがある(一般には奪格が多い)。
3)対格の用法
対格は他動詞の直接目的語となる。また、対格支配の前置詞の後にくる。
4)奪格の用法
奪格にはさまざまな用法があるほか、奪格支配の前置詞の後にくる。
性質の奪格:形容詞を伴って性質をあらわす。
手段の奪格:前置詞なしに用いて、手段・方法をあらわす。
分離の奪格:分離、解放などの概念を持つ動詞や形容詞とともに用いて分離をあらわす。この場合、a (ab), e (ex)などの前置詞を伴うこともあれば、前置詞なしに用いることもある。
限定・観点の奪格:「〜の点で」と訳すことができる。
仕方・様子の奪格:抽象名詞の奪格は前置詞cumを伴って仕方や様子をあらわす。
ただし、形容詞があるときはcumはなくてもいい。
奪格は、ある事柄がおきる時点や時期を示す。また、ある事柄や状態が継続した期間を示す。
随伴の奪格:常にcumを伴って随伴をあらわす。
原因の奪格:主として感情動詞とともに用いて原因をあらわす。
随伴状況の奪格:奪格 + esseで随伴状況をあらわすことがある。
奪格を伴う形容詞:dignus, -a, -um indignus, -a, um plenus, -a, -um etc.
* 地格locativus:場所をあらわす格で、次の2語のみがもつ。
domus(家:4 f)→ domi(家で)
rus (田舎:3 n)→ ruri(田舎で)
*町や小島などの固有名詞の場合、場所をあらわすには
第1・第2変化単数では属格形、それ以外では奪格形を前置詞なしで用いる。
また、これらの名詞では以下のような用法もある。
・「〜へ」という場合、inやadの前置詞なしの対格形
・「〜から」という場合、ex, de, abの前置詞なしの奪格形