概念

概念 concept, Begriff (D)


 概念とは事物の本質を捉える思考の形式である。。
 事物の本質的な特徴とそれらの連関が概念の内容(内包)である。
 概念は同一本質を持つ一定範囲の事物(外延)に適用されるから一般性を持つ。
 概念は言語に表現され、その意味として存在する。

【概念の成立】
 経験される多くの事物に共通の内容を取り出し(抽象)、個々の事物にのみ属する偶然的な性質を捨てる(捨象)ことにより、概念は形成される。

 直観 intuitionとは、我々の知覚の対象となるものを、判断や推理の媒介なしに把握することをいう。
 直観によって捉えられた心的内容はとりとめのない表象である。この雑多なん直観内容に反省作用が加わり、内容に統一を与えるものが<思考 thinking>である。
 直観によって捉えられた諸現象の各項において、自らの内容として認められる、各項に共通の性質を<本質的属性 essential attribute>という。
 各項に偶然的に付随している諸性質は<偶有的属性 accidental attribute>である。
 このようは偶有的属性を捨象し、本質的属性を抽象することによって、後者を中心に概括された一般的観念が<概念 concept>である。
 概念を言語で表現したものを<名辞 term>という。

【内包と外延】
・内包 intension, connotation
  概念における本質的属性の総和。
・外延 extension, denotation
  概念が指示する対象の全範囲。
 内包が確定すれば外延も確定する。しかしその逆は必ずしも成立しない。
 内包が増すとその外延が減り、外延が増すと内包が減る。

【種と類】
 概念のうちで外延の大きなものは、外延の小さなものに対して<類概念 genus>もしくは<上位概念 superordinate concept>という。
 外延の小さなものは大きなものに対して、<種概念 species>もしくは<下位概念 subordinate concept>という。

 ある概念の外延が他の概念の外延よりも大きく、それを自己のうちに包括する場合に、前者を後者の類概念、後者を前者の種概念という。
 類概念は多くの種概念を概括する関係にある。
 類と種とは相対的関係にある。

 外延が最大で内包が最小の概念を<最高類概念 summum genus>もしくは<範疇 category, Kategoria>という。
 外延が最小で内包が最大の概念を<最低種概念 infima species>もしくは<個 in-dividuum>という。
 範疇は他のものの種とはなりえない。
 外延の成員が1個ないし0の場合にも、内包があれば概念はある。

 同一の類概念に属する多くの種概念を、相互に<同位概念 coordinate concept>という。
 同位概念のあるものに特有な属性で、しかも他の同位概念から区別される徴表となる性質を<種差 specific difference>という。

 ある概念の直接上位にある類を<最近類概念 genus proximum>といい、直接下位にある種を<最近種概念 species proximua>という。
 ある種概念の内包は、最近類概念の内包に種差を加えたものである。

【名辞】
 命題 propositionの主語 subjectと述語 predicateを総称して、名辞 termまたは概念 conceptionといい、これらを連結する機能を持つものを連辞 copulaという。
 外延またはクラス classとは、名辞が適用される対象の集合であり、内包または意味 meaningとは、名辞が適用される対象の共通性質である。
 主観的内包とは、名辞の使用者が、それが示すクラスの含む対象が共有すると信じている性質の全体である。
 客観的内包とは、ある集団に属する人々が、ある名辞のクラスに、任意の対象が属するか否かを判定する基準として使用している一組の共通性質をいう。