RNAウィルス感染症
<Group III:2本鎖RNA>
Ⅰ レオウィルス
セドレオウィルス属のロタウィルスは小児に急性胃腸炎を引き起こす代表的なウィルス
スピナレオウィルス属のコロラドダニ熱ウィルスはダニを媒介として感染し、発熱、筋肉痛などを引き起こす
Ⅰ-1 ロタウィルス
1)嘔吐下痢症
Ⅰ-2 コロラドダニ熱ウィルス
1)コロラドダニ熱
<Group IV:1本鎖RNA+鎖>
Ⅱ コロナウィルスcorona virus
ヒトコロナウィルスはかぜ症候群の主な病原ウィルスである
1)かぜ症候群(ヒトコロナウィルスhuman corona virus)
2)SARS
3)MERS
Ⅲ ピコルナウィルスpicornavirus
ヒト病原性を示すのはエンテロウィルス属、ヘパトウィルス属の2属のみ
エンテロウィルス属Enterovirusには上気道炎症状を主とするコクサッキーウィルス、エコーウィルス、ライノウィルスと、胃腸炎を主とするエンテロウィルス群(1968年以降に発見されたもの)とがある。ポリオウィルスもこのグループに属し、ときに運動麻痺を引き起こす
ヘパトウィルス属HepatovirusはA型肝炎ウィルスである
Ⅲ-1 コクサッキーウィルスCoxsackie virus
A(1〜24型)、B(1〜6型)の2群がある
経口的に侵入し、咽頭喉頭と腸管に感染する(多くは不顕性感染)
経胎盤感染もある
Ⅲ-1-a コクサッキーA群ウィルス
1)手足口病(A10、A16)
2)ヘルパンギーナ(A群全般)
3)その他
Ⅲ-1-b コクサッキーB群ウィルス
1)急性心筋炎
2)流行性筋痛症
3)その他
Ⅲ-2 ポリオウィルスpoliovirus
ポリオ(急性灰白髄炎)の原因ウィルス
経口的に侵入した後、咽頭と小腸のリンパ組織(扁桃とパイエル板)に感染する
99%は不顕性感染、少数に咽頭喉頭炎、まれに無菌性髄膜炎、運動麻痺(脊髄前角障害)
1)ポリオ(急性灰白髄炎poliomyelitis)
Ⅲ-3 エコーウィルスechovirus
経口的に侵入し、咽頭喉頭と腸管に感染する
不顕性感染が多く、発症時はコクサッキーウィルス感染様症状を来す
急性上気道炎、発疹性疾患、無菌性髄膜炎など
Ⅲ-4 ライノウィルスrhinovirus
主に飛沫感染により鼻粘膜、上気道粘膜に感染し、かぜ症候群(鼻かぜ)を起こす
小児では気管支炎、肺炎、二次性の副鼻腔炎・中耳炎を来すこともある
Ⅲ-5 エンテロウィルスenterovirus
1968年以降に分離されたエンテロウィルス属(68〜71型)
急性出血性結膜炎、脊髄根炎(麻痺)、手足口病などを起こす
Ⅳ トガウィルスtogavirus
トガウィルス科のルビウィルス属風疹ウィルスがヒトに病原性を持つ
節足動物媒介ウィルス(アルボウィルス)A群であるアルファウィルス属も様々な疾患の原因となる
1)風疹(風疹ウィルスrubella virus)
2)先天性風疹症候群
Ⅴ フラビウィルスflavivirus
トガウィルス科から独立した分類群で、節足動物媒介ウィルス(アルボウィルス)B群が含まれる
C型肝炎ウィルス属もこの科に含まれる
フラビウィルス属のベクターは蚊である
1)日本脳炎(日本脳炎ウィルスJapanese encephalitis virus)
2)デング熱(デング熱ウィルスdengue virus)
3)黄熱病(黄熱ウィルスyellow fever virus)
Ⅵ カリシウィルス calicivirus
ノロウィルス属とサポウィルス属がヒトに病原性を持ち、主として小児に感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)をひきおこす。
1)感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)
Ⅵ アストロウィルス astrovirus
アストロウィルス群も主として小児の感染性胃腸炎の原因となる。
1)感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)
<Group V:1本鎖RNAー鎖>
Ⅶ オルソミクソウィルスorthomyxovirus
Ⅶ-1 インフルエンザウィルスinfluenza virus
インフルエンザウィルスはA、B、Cの3型に分けられる
A型は赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の抗原性によって種々の亜型に分けられる
B、C型には1つの亜型しか存在しない
抗原変異:連続変異antiganic driftは同一亜型内での抗原構造のわずかな変異である
不連続変異antigenic shiftは抗原構造が亜型を超えるほど大きく変化したもので、大流行pandemicを起こす
1)インフルエンザ
Ⅷ パラミクソウィルスparamyxovirus
Ⅷ-1 麻疹ウィルスmeasles virus
1)麻疹(はしか)
2)亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
Ⅷ-2 ムンプスウィルスmumps virus
1)流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
Ⅷ-3 パラインフルエンザウィルスparainfluenza virus
1)急性上気道炎(小児)
Ⅷ-4 ニューモウィルス亜科
ニューモウィルス亜科に属するRSウィルスrespiratory syncytial virusとヒトメタニューモウィルス human metapneumovirusは小児の急性呼吸器感染症を引き起こす。
1)急性呼吸器感染症(小児)
Ⅸ ラブドウィルスrhabdovirus
自然界に広く分布するウィルスで、哺乳類を宿主とするのはベジクロウィルスvesiculovirusと、狂犬病ウィルスが属するリッサウィルスlyssavirusの2属のみである
Ⅸ-1 狂犬病ウィルスrabies virus
自然界では森林型狂犬病として存続し、すべての哺乳動物に感染する
ウィルスは中枢神経系に侵入し、発症すると致命率が極めて高い
1)狂犬病
Ⅹ ブニヤウィルスbunyavirus
Ⅹ-1 ハンタウィルスhantavirus
ハンタウィルスに属するハンターンウィルスHantaan virus(腎症候性出血熱ウィルスvirus of hemorrhagic fever with renal syndrome : HFRS virus)は極東アジアのセスジネズミや東欧・スカンジナビアのヤチネズミなどに持続感染しており、尿・唾液中にウィルスが排泄される
1)腎症候性出血熱(韓国型出血熱)
2)ハンタウィルス肺症候群
Ⅹ-2 昆虫媒介性ウィルス(アルボウィルスarbovirus)
昆虫をベクターとして増幅動物に感染し、たまたまヒトが感染サイクルに巻き込まれると出血熱、脳炎などの重篤な疾患を起こす。いずれもブニヤウイルス科に属する。
a フレボウィルスphlebovirus
1)リフトバレー熱
2)砂バエ熱
b ナイロウィルスnairovirus
1)クリミア・コンゴ出血熱
c オルソブニヤウィルスorthobunyavirus
1)カリフォルニア脳炎
ⅩⅠ アレナウィルスarenavirus
自然宿主はネズミ。アフリカや南米における種々の出血熱を引き起こす。
ⅩⅠ-1 ラッサ熱ウィルス(ラッサウィルスLassa virus)
西アフリカの野ネズミMastomysに慢性感染し、尿や唾液がヒトへの感染源になる
1)ラッサ熱
Ⅳ-2 南米出血熱ウィルス
南米の野ネズミCalomysに慢性感染し、尿や唾液がヒトへの感染源になる
1)アルゼンチン出血熱
2)ボリビア出血熱
3)ブラジル出血熱
4)ベネズエラ出血熱
Ⅶ フィロウィルスfilovirus
自然宿主は不明。致死率の高い出血性感染疾患を引き起こす。
1)マールブルグ病(マールブルグウィルスMarburg virus)
2)エボラ出血熱(エボラウィルスEbola virus)