法律で定められた感染症

Ⅰ 法定感染症(感染症法)

【概念】
 感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を定めた総合的な法律である「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法):1998年制定、1999年施行」で指定された感染症。
 感染力や罹患した場合の重篤性などに基づき、感染症を危険性が高い順に1類から5類に分類される。
 既知の感染症であっても、危険性が高く特別な対応が必要であると判断される場合は「指定感染症」に指定される。また、既知の感染症と異なり、危険度が高いと考えられる新たな感染症が確認された場合は「新感染症」として分類される。
 「新型インフルエンザ等感染症」には、新たな感染力を持つインフルエンザのうち、一般国民が免疫を獲得していないために危険性が高いとみなされる「新型インフルエンザ」と、かつて世界規模で流行したがその後長期間流行がなく、一般国民が免疫を獲得していないために危険性が高いとみなされる「再興型インフルエンザ」が含まれる。

 1類感染症

 感染力、罹患した場合の重篤性に基づく総合的な観点からみた危険性が極めて高い感染症

 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱

 2類感染症

 感染力、罹患した場合の重篤性に基づく総合的な観点からみた危険性が高い感染症

 急性灰白髄炎、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、結核、鳥インフルエンザ(H5N1)

 3類感染症

 感染力、罹患した場合の重篤性に基づく総合的な観点からみた危険性が高くないが、特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こしうる感染症

 腸管出血性大腸菌感染症、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス

 4類感染症

 人から人への感染はほとんどないが、動物、飲食物等の物件を介して感染するため、動物や物件の消毒、廃棄などの措置が必要となる感染症

【法】 E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、炭疽、鳥インフルエンザ(H5N1以外)、ボツリヌス症、マラリア、野兎病

【政令】 ウエストナイル熱、エキノコックス症、オウム病、オムスク出血熱、回帰熱、キャサヌル森林病、コクシジオイデス症、サ ル痘、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、腎症候性出血熱、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、チクングニア熱、つつが虫病、 デング熱、東部ウマ脳炎、ニパウイルス感染症、日本紅斑熱、日本脳炎、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、鼻疽、ブルセラ症、ベネズエラウマ脳炎、ヘンドラウイルス感染症、発しんチフス、ライム病、リッサウイルス感染症、リフトバレー熱、類鼻 疽、レジオネラ症、レプトスピラ症、ロッキー山紅斑熱

 5類感染症

 国が感染症発生動向調査を行い、その結果等に基づいて必要な情報を一般国民や医療関係者に提供・公開していくことによって、発生・拡大を防止すべき感染症

【法】 インフルエンザ、ウイルス性肝炎(E型肝炎およびA型肝炎以外)、クリプトスポリジム症、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、梅毒、麻しん、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症

【省令】 アメーバ赤痢、RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、急性出血性結膜炎、 急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱以外)、クラミジア肺炎(オウム病を除く。)、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、細菌性髄 膜炎、ジアルジア症、侵襲性インフルエンザ菌感染症、侵襲性髄膜炎菌感染症、侵襲性肺炎球菌感染症、水痘、性器ヘルペ スウイルス感染症、尖圭コンジローマ、先天性風しん症候群、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、破傷風、バンコマイシン 耐性黄色ブドウ球菌感染症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、百日咳、風しん、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、へルパン ギーナ、マイコプラズマ肺炎、無菌性髄膜炎、薬剤耐性アシネトバクター感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症、流行性角結膜炎、 流行性耳下腺炎、淋菌感染症

 新型インフルエンザ等感染症

 新型インフルエンザ、再興型インフルエンザ

 指定感染症

 鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型がH7N9であるもの)

 新感染症

(現在は該当なし)

 


Ⅱ 学校感染症(学校保健安全法)

【概念】
 学校保健安全法施行規則第3章「感染症の予防」において定められた感染症。出席停止期間の基準により、第1種から第3種までに分類される。

 第1種

(治癒するまで出席停止)

 結核を除く感染症法1類および2類感染症

 第2種

 飛沫感染するもので、児童生徒等の罹患が多く、学校における流行を広げる可能性が高いもの(個別に指定された期間まで出席停止)

 インフルエンザ、百日咳、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、水痘、咽頭結膜熱、結核、髄膜炎菌性髄膜炎

 第3種

 学校教育活動を通じ、学校において流行を広げる可能性のある感染症(医師により感染の恐れがないと認められるまで出席停止)

 コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎

【その他の感染症】

(指定された条件により登校可能)
 溶連菌感染症、ウィルス性肝炎、手足口病、伝染性紅斑、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ感染症、流行性嘔吐下痢症(感染性胃腸炎)

(出席停止の必要がないもの)
 アタマジラミ、伝染性軟属腫、伝染性膿痂疹

 


Ⅲ 検疫感染症(検疫法)

【概念】
 日本には病原体が常在しない感染症のうち、検疫所が行なう検疫の対象となるもので、検疫法第2条により指定された感染症。感染症法1類感染症、新型インフルエンザ等感染症、政令で指定された2類および4類感染症の一部を含む15疾患で、検疫感染症患者(疑い例を含む)が発見された場合は診察、検査、隔離・停留などを行なうことができる。

 検疫  感染症 実施する措置
【1類感染症】
 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱
 質問、診察・検査
 隔離、停留
 健康監視、消毒等
【新型インフルエンザ等感染症】
 新型インフルエンザ感染症
 質問、診察・検査
 隔離、停留、消毒等
【政令で指定する感染症】
 ジカウィルス感染症
 チクングニア熱
 中東呼吸器症候群(MERS)*
 デング熱
 鳥インフルエンザA(H5N1またはH7N9)*
 マラリア

 質問、診察・検査
 消毒等

 *健康監視


【註記】


【参考】


【改訂】2016-12-18