ヘルペスウィルス科 Family Herpesviridae

ヘルペスウィルス科 Family Herpesviridae 


  正20面体ウィルスで、エンベロープに覆われる。
 遺伝子はDNAで線状二本鎖。
 表皮、粘膜を通じて伝播し、生体内に潜伏感染し様々な条件の変化によって再発する。
 免疫低下状態では重篤な全身感染をおこす。

1.α-ヘルペスウィルス亜科 Alphaherpesviridae

1)単純ヘルペスウィルス1型(ヒトヘルペスウィルス-1:HHV-1)herpes simplex virus
 初感染はヘルペス性口内歯肉炎(不顕性感染も多い)。
 三叉神経節に潜伏し、再帰的に口唇ヘルペス、角膜ヘルペスをおこす。
 免疫低下状態では全身性感染やヘルペス脳炎をおこす。

2)単純ヘルペスウィルス2型(ヒトヘルペスウィルス-2:HHV-2)herpes simplex virus
 初感染は性器ヘルペスで、性交により伝播する。
 仙髄神経節に潜伏感染し、再帰的に性器ヘルペスを反復する。
 免疫低下状態では全身感染をおこしうる。

3)水痘-帯状ヘルペスウィルス(ヒトヘルペスウィルス-3:HHV-3)varivella-zoster virus
 初感染は水痘で、脊髄後根神経節に潜伏し、再帰的に帯状疱疹を発症する。
 免疫低下状態では汎発性帯状疱疹肺炎をおこす。

2.β-ヘルペスウィルス亜科 Betaherpesviridae

1)サイトメガロウィルス(ヒトヘルペスウィルス-5:HHV-5)cytomegalovirus
 通常、母親より新生児に垂直感染する。多くは不顕性感染で、まれに肺炎、肝炎をおこす。
 経胎盤感染をおこすと新生児の先天性巨細胞封入体症がおこる。
 腺組織に潜伏し、再帰的に肺炎、胃腸炎、網膜炎をおこす。

2)ヒトヘルペスウィルス-6:HHV-6
 BおよびTリンパ球に感染し、乳児に突発性発疹をおこす。
 伝染性単核球症の一部と慢性疲労症候群の原因でもある。

3)ヒトヘルペスウィルス-7:HHV-7
 Tリンパ球に感染し、突発性発疹をおこす。

3.γ-ヘルペスウィルス亜科 Gammaherpesviridae

1)Epstein-Barr(EB)ウィルス(ヒトヘルペスウィルス-4:HHV-4)
 乳児期に感染した場合、多くは不顕性感染。思春期に感染すると伝染性単核球症をおこす。
 慢性活動性感染ではバーキットリンパ腫や上咽頭癌の発生がおこる。

2)ヒトヘルペスウィスル-8:HHV-8
 カポジ肉腫関連ヘルペスウィルス Kaposi sarcoma-associated herpesvirus (KSHV)ともよばれる。
 1994年にAIDS患者由来のカポシ肉腫組織中に発見された。
 キャッスルマン病やAIDS患者にみられる体腔リンパ腫もこのウィルスに起因する。


【註記】


【参考】


【改訂】2016-12-11